研究助成

iPSアカデミアジャパン研究助成について

iPSアカデミアジャパンは、設立10周年記念事業として、2018年度より新たに研究助成事業を創設しました。本助成は、未来ある若手研究者の創造的な研究を支援することで、日本で生まれた画期的な研究成果であるiPS細胞関連技術を更に普及・発展させることを目的とします。


2024年度研究助成チラシ原稿_ホームページ用.png

2024年度概要

対象研究 iPS細胞分野(iPS細胞技術及びその応用技術)における日本国内での基礎研究及び応用研究
助成金額 200万円/件
助成件数 5件程度
応募資格
  • 国内の大学または公的な試験研究機関に所属し、対象研究分野の研究開発に従事している者
  • ①1984年(昭和59年)4月2日以降に出生した者(外国籍も可、博士号取得済)※

または、

②学位(博士号)取得後5年未満かつ45歳未満(2024年4月1日現在)(外国籍も可、博士号取得済)※

※ただし、産前・産後の休暇、育児休業を取得した者は、その累計取得期間を各応募資格年齢または「学位取得後5年」に加算した数値を応募資格とすることが出来る。

のⅰ)及びⅱ)の2点の資格を併せもつこと
応募期間 2024年9月1日(日)~10月31日(木)17:00必着
選考結果 2025年1月中旬までに採択者を当社HPに掲載し、各採択者には採択通知を郵送
贈呈式 2025年3月5日(水)に「2024年度贈呈式及び研究発表会」を開催
※詳細については後日採択者に連絡いたします
成果発表 2025年2月もしくは3月に開催する「2025年度贈呈式及び研究発表会」にて研究成果を発表

2024年度 選考委員会

委員長
吉田 修 京都大学名誉教授/当社元代表取締役社長
委員
佐治 英郎 当社代表取締役社長/京都大学名誉教授
齊藤 博英 京都大学 iPS細胞研究所 未来生命科学開拓部門 教授
東京大学定量研究生命科学研究所 教授
高倉 伸幸 大阪大学 微生物病研究所 所長/教授
戸口田 淳也 京都大学 iPS細胞研究所 基盤技術研究部門 所長補佐/特定拠点教授
水口 裕之 大阪大学大学院薬学研究科 教授
医薬基盤・健康・栄養研究所 招へいプロジェクトリーダー

(順不同:敬称略)

応募方法

応募要項及びQ&Aにて詳細をご確認ください。その後下記の申請書・推薦書をダウンロードしていただき、必要事項を記入の上、josei@ips-ac.co.jp までE-mailで送付してください。


募集要項(日本語) 募集要項(英語)
Q&A(日本語)   Q&A(英語)
申請書(様式1、日本語) 申請書(様式1、英語)
推薦書(様式2)

お問い合わせ

iPSアカデミアジャパン株式会社 研究助成事務局

josei@ips-ac.co.jp

これまでの採択者

2023年度採択者

※五十音順、敬称略

池中 亮裕 京都大学iPS細胞研究所
特定研究員

「SMNタンパクによる細胞内相分離を介した転写制御機構の解明」
勝田 毅 東京大学大学院・工学系研究科・化学システム工学専攻
助教

「iPS由来肝細胞移植の治療効果改善に向けたin vivo CRISPRスクリーニング」
柴田 博史 岐阜大学大学院医学系研究科 耳鼻咽喉科学分野
准教授

「マウス生体内初期化技術を用いた機能的甲状腺再生の試み」
中村 治子 横浜市立大学医学部 神経内科学・脳卒中医学
助教

「iPS細胞を用いた非翻訳領域リピート病の病態解明および治療法開発」
三木 健嗣 大阪大学ヒューマン・メタバース疾患研究拠点
特任講師

「iPS細胞×臨床データ×機械学習の融合によるバイオデジタルツインハートモデルの創出」

[参考] 2018年度から2022年度までの採択者所属先とその人数

採択者所属先(順不同) 採択者数
京都大学iPS細胞研究所 11名
慶應義塾大学医学部 他 11大学 13名
理化学研究所 他 1研究機関 3名
合計 27名
2022年度採択者

※五十音順、敬称略

河口 理紗 京都大学iPS細胞研究所
講師

「iPS細胞の分化過程における転写因子のパイオニアネス変化予測」
北川 瑶子 京都大学iPS細胞研究所
日本学術振興会特別研究員RPD

「iPS細胞を用いたCOVID-19重症化リスクSNPの作用機序解明」
齊藤 弥積 東京慈恵会医科大学 腎臓・高血圧内科
助教

「ヒト臨床応用に向けたネフロンと腎間質を含めた腎臓再生法の確立」
下林 俊典 京都大学iPS細胞研究所 未来生命科学開拓部門
准教授

「次世代iPS細胞作製技術を目指した細胞内遺伝子発現の光制御」
西原 秀昭 山口大学医学部 神経・筋難病治療学講座
助教

「ALS患者由来血液脳関門モデル作製とその臨床応用」

[参考] 2018年度から2021年度までの採択者所属先とその人数

採択者所属先(順不同) 採択者数
京都大学iPS細胞研究所 8名
慶應義塾大学医学部 他 9大学 11名
理化学研究所 他 1研究機関 3名
合計 22名
2021年度採択者

※五十音順、敬称略

岩崎 未央 京都大学iPS細胞研究所 未来生命科学開拓部門
特定助教

「ヒト細胞における不完全長タンパク質翻訳機構の新規解明」
小山 明 京都大学iPS細胞研究所 未来生命科学開拓部門
日本学術振興会特別研究員RPD

「iPS細胞とリプログラミング技術を用いた臓器老化・若返り研究の基盤構築」
佐々木 周伍 大阪大学大学院医学系研究科 内分泌・代謝内科学 糖尿病病態医療学
特任研究員

「ヒトiPS細胞を用いた膵β細胞分化における脂肪酸の重要性解明」
北條 未来 京都大学iPS細胞研究所 臨床応用研究部門 櫻井研究室
特定研究員

「骨格筋幹細胞の分化誘導率の早期非破壊予測法の開発」
松本 隆作 京都大学iPS細胞研究所 未来生命科学開拓部門
特定研究員

「iPS細胞由来オルガノイドにおける組織間相互作用網羅的解析手法の確立」
南 聡 大阪大学大学院医学系研究科 遺伝学
特任助教

「腎オルガノイドを用いたCRISPRスクリーニングによりヒト糖尿病性腎臓病におけるオートファジー調整不全の分子機序を解明する」

[参考] 2018年度から2020年度までの採択者所属先とその人数

採択者所属先(順不同) 採択者数
京都大学iPS細胞研究所 4名
慶應義塾大学医学部 他 8大学 9名
理化学研究所 他 1研究機関 3名
合計 16名
2020年度採択者

※五十音順、敬称略

石井 聖二 慶應義塾大学医学部生理学教室
特任講師

「ヒトiPS細胞から前脳型コリン作動性神経細胞への迅速誘導法の開発」
笠原 朋子 理化学研究所・生命医科学研究センター
客員研究員(IFOM博士研究員)

「ヒトiPS細胞を用いた腎特異的エンハンサーアトラスに基づく初期発生機序解明」
木谷 友哉 京都府立医科大学大学院医学研究科 循環器内科学
病院助教

「iPS細胞とCRISPRスクリーニングを用いたヒト心筋細胞増殖制御機構の解明」
中戸 隆一郎 東京大学 定量生命科学研究所 (大規模生命情報解析研究分野)
講師

「希少疾患由来iPS細胞を用いた細胞分化系譜破綻の機序解明のための1細胞解析系の確立」
坂野 公彦 奈良県立医科大学 生理学第二講座
講師

「疾患モデルiPS細胞とオンチップ血管網を用いた血管灌流制御機構の解明」
2019年度採択者

※五十音順、敬称略

有岡 祐子 名古屋大学医学部附属病院 先端医療開発部
特任助教

「染色体22q11.2欠失患者iPS細胞を用いた精神疾患関連オルガネラ病態研究」
内村 幸平 山梨大学医学部 内科学講座第3教室
助教

「新規腎臓オルガノイドを用いた細胞アッセイへの応用」
川井 俊介 京都大学iPS細胞研究所 増殖分化機構研究部門
特定拠点助教

「ヒトiPS細胞からのin vitro骨形成過程再現系の構築とその応用」
河野 通仁 北海道大学大学院医学研究院 免疫・代謝内科学教室
助教

「疾患iPS細胞を用いた精神神経ループスの病態研究」
南川 淳隆 京都大学iPS細胞研究所 増殖分化機構研究部門
特定研究員

「運動の免疫調整機構の解析を通じたiPS細胞製剤の生体内コントロール法の開発」
宮岡 佑一郎 東京都医学総合研究所 再生医療プロジェクト
プロジェクトリーダー

「生体内治療分子産生工場としてのゲノム編集iPS細胞」

2019年度贈呈式

iPSアカデミアジャパン研究助成の2019年度採択者に対する贈呈式が、2020年2月6日、京都大学芝蘭会館別館にて執り行われました。また、贈呈式に引き続き行われた懇親会では、採択者や選考委員が専門を超えて交流を深めました。

選考委員長 総評

山中伸弥教授がヒトiPS細胞樹立の論文を発表したのが、2007年11月です。山中先生や松本先生(元京大総長)は、この技術を広く国の内外に普及させ、その実用化、臨床応用を促進するには、京都大学がiPS細胞技術の基本特許を取得し、適正な料金でライセンスすることが不可欠であると考え、2008年6月にiPSアカデミアジャパンが設立されました。

爾来われわれはCiRAの知財担当者との協力のもとにiPS細胞基本特許のライセンス活動を着実に行ってきましたが、今日では契約企業は国内約110社、国外約100社を超えるまでになり経営も安定してきました。そこで若手研究者を対象とした研究助成を設立10周年にあたる昨年より開始しました。

今回も全国より24件の研究助成の応募がありましたが、基礎研究から応用研究まで範囲が広くそれぞれ質の高いものでした。

各選考委員が研究課題の意義、独創性、実現性、実績などについて評価し、事務局において集計した客観的なデータをもとに選考委員会において慎重に審議して採択者を決定しました。5件を選ぶのに熱心に議論いたしましたが、結論として6名がこの研究助成の意義を生かすことになると考え1名増加しました。

採択された6名の研究は、いずれも素晴らしい成果をあげられる可能性の高いものです。

京都大学医学部同窓会の会報(芝蘭会報)200号記念誌に、岩井先生の司会で、井村先生、本庶先生、山中先生、中西先生、成宮先生らによる座談会記録が掲載されています。山中先生がその中で、iPS細胞による再生医療未来について、「すでに十数件ほどの治験や臨床試験が多様な分野で始まっており、これらのいくつかが、出来得る限りの科学的検証に耐えるもの、効果のあるものとして残り、10年後、20年後には一般的な治療法になってほしい、一つで、二つでも、三つでも・・・」と述べておられます。

これは再生医療に限った事ではなく、創薬また疾患の病理、病態の解明などiPS関連の広い分野においても期待されることと思います。そしてその実現の原動力になるのは今回採択された方々のようにiPS研究の中核を形成している研究者です。

皆さんの一層のご活躍を祈念します。

選考委員長  吉田 修

贈呈式の様子

  • 贈呈書授与(有岡祐子先生)

  • 贈呈書授与(内村幸平先生)

  • 贈呈書授与(川井俊介先生)

  • 贈呈書授与(河野通仁先生)

  • 贈呈書授与(南川淳隆先生)

  • 贈呈書授与(宮岡佑一郎先生)

  • 集合写真(採択者及び選考委員)

2018年度採択者

※五十音順、敬称略

上田 香織 神戸大学大学院医学研究科 外科学系講座眼科学分野
特定助教

「疾患iPS細胞を用いたレーベル遺伝性視神経症の病態研究」
嶋田 逸誠 名古屋市立大学大学院医学研究科 細胞生化学分野
講師

「多機能的転写因子によるミニブレイン神経幹細胞の運命決定制御機構の解析」
杉村 竜一 京都大学 iPS細胞研究所 臨床応用研究部門
特定研究員

「臓器連関再構成organ-on-a-chipデバイスとiPS細胞技術の相互作用による血液発生機構の解明」
林 洋平 理化学研究所 バイオリソース研究センター
iPS細胞高次特性解析開発チーム チームリーダー

「転写因子-DNA複合体の構造解析に基づいた次世代人工リプログラミング因子の開発」
前 伸一 京都大学 iPS細胞研究所 増殖分化機構研究部門
特定拠点助教

「ヒトiPS細胞由来尿管芽の再生によるin vitro腎嚢胞モデルの開発」

2018年度贈呈式

iPSアカデミアジャパン研究助成の2018年度採択者に対する贈呈式が、2019年2月6日、京都大学芝蘭会館別館にて執り行われました。また、贈呈式に引き続き行われた懇親会では、採択者や選考委員が専門を超えて交流を深めました。

選考委員長 総評

山中伸弥教授がヒトiPS細胞樹立の論文を発表したのは2007年11月ですが、当初から、山中先生や松本元総長(この当時は副学長)ら京都大学の関係者は、この技術を広く国の内外に普及させ臨床応用への道を開くことを企画していました。そのためには京都大学がiPS細胞技術の基本特許を取得し、適正なライセンス活動を行うことが不可欠であるとの考えのもと、2008年6月にiPSアカデミアジャパンが設立されました。

爾来iPS細胞基本特許のライセンス活動を着実に行い今日にいたっております。設立以来10年が経ち、経営も安定し多少の余裕ができたので、設立当初からのミッションである「iPS細胞技術の普及とその臨床応用を一日でも早く実現する」という目的のために、とくに若手研究者を対象とした研究助成を行うことになりました。

応募資格は国内の大学又は公的研究機関に所属し対象研究に従事している者で40歳未満(1978年4月2日以降に出生した者)とし応募期間は2018年9月3日(月)~2018年10月31日(水)としました。その結果25件の応募がありましたが基礎研究から応用研究まで範囲が広く、それぞれ非常に質の高いものでした。
選考の方法は研究課題の意義、独創性、実現性、またその分野の実績などについて6名の選考委員が個別に評価し、その客観的なデータを事務局において集計し、選考委員会において慎重に審議し5名の採択者を決定いたしました。

再生医療の現状を「夜明けから日が昇っている状況に変化している。これからどんどん明るくなるだろう」と表現した人がいますが、その中心となっているのはiPS細胞研究です。

われわれのささやかな研究助成が、採択者の皆さんの研究推進に少しでもお役に立つことを祈念しております。そして「日が昇っている状態から白昼の明るい状態になる日」が早く到来することを祈っています。

なお今回採択できなかった応募の中にも素晴らしいものが少なくなく、基金の制約のため助成できなかったことを大変申し訳なく思っております。この研究助成は少なくとも今後10年は続ける予定ですので、再挑戦されることを期待しております。また、さらに多くの若い研究者が次回以降も応募されることをこころから願っております。

選考委員長  吉田 修

贈呈式の様子

  • 贈呈書授与(上田香織 先生)

  • 贈呈書授与(嶋田逸誠 先生)

  • 贈呈書授与(杉村竜一 先生)

  • 贈呈書授与(林洋平 先生)

  • 贈呈書授与(前伸一 先生)

  • 集合写真(採択者及び選考委員)

CiRA国際シンポジウム2019 当社主催ランチョンセミナー

2019年11月27日(水)~29日(金)に、京都大学iPS細胞研究所(CiRA)主催の「CiRA国際シンポジウム2019」が京都大学百周年時計台記念館にて開催され、当社は、2019年11月28日(木)に「iPSアカデミアジャパン研究助成」2018年度採択者による研究中間報告のためのランチョンセミナーを主催しました。